静脈内鎮静法
静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)とは、歯科恐怖症の方や長時間の治療が必要な場合に適しています。
静脈内に点滴を行うことで、患者様は眠っているような状態で治療を受けることができ、気がついた時には治療が終了しているといった感じになります。
●歯科治療が怖い方、歯科治療が嫌いな方、歯科治療中に具合の悪くなる方、=歯科恐怖症の方。
●インプラント手術などの口腔外科手術を受ける方。
●口の中に物が入ると嘔吐反射が出る方。
静脈内鎮静法の概要
静脈内鎮静法は、精神安定剤を静脈に点滴していく方法で、点滴を始めると間もなくうたた寝したような状態になっていきます。体が温かくなり、湯加減の良い温泉に浸かっているような、お布団の中でまどろんでいるような感じになります。その後すぐに眠気が強くなり最終的に眠ってしまいます。
※状況によっては受け答えできるように意識が残るようコントロールすることもあります。
治療中の痛みや不快な音などは、気にならなくなり、いつの間にか治療が終わってしまいます。中には術中のことを憶えていないという患者様も少なくありません。ただ、鎮静法をコントロールして患者様の意識を残した場合は、歯科医師をはじめとするスタッフが声を掛ければ反応できます。
静脈内鎮静法の流れ
1、静脈から点滴をします
まず静脈から点滴をします。点滴をする際の静脈注射時の痛みを完全になくすことはできませんが、使用する注射針がとても細いことから、注射が怖いという患者様でも刺された瞬間が分からないという場合が多いです。
2、点滴がスムーズに入っていることが確認できてから精神安定剤を注入します
点滴がスムーズに入っていることが確認できてから精神安定剤を注入していきます。患者様の様子をしっかり見ながら慎重に進めていきます。完全に眠った状態にするか、軽く受け答えのできる状態にするかのいずれかを選択して調整していきます。
3、必要に応じて局所麻酔を行います
患者様が痛みなどを感じなくなったことを確認したら、静脈内鎮静法では麻酔効果は得られないため必要に応じて局所麻酔を行います。治療開始後も、心拍や血圧などの生態データをモニターを見たりしながらリアルタイムでチェックし、万一の場合に備えます。
静脈内鎮静法の注意点
術後に眠気やふらつきなどが生じます
静脈内鎮静法では、術後に眠気やふらつきなどが生じますので、通常の状態に戻るまでは、術後は院内でゆっくり、そして充分に休んでいただきます。
いくつかの制限事項があります
静脈内鎮静法では、いくつかの注意事項があります。
※翌日からは普段通りの生活で問題ありません。
・当日は車や自転車の運転を控えてください
・患者様の様子を正確に把握するため口紅やマニキュアはしないようお願いしています
・当日は帰宅後も安静にしてください
静脈内鎮静法はカウンセリング前提の治療法です
静脈内鎮静法は使用する薬剤の選定等に慎重な準備が必要です。患者様の既往症や服用されているお薬等があれば、それらを把握し準備していきます。
静脈内鎮静法は自由診療です
静脈内鎮静法は自由診療です。親知らずの抜歯など通常の治療と静脈内鎮静法を併用することは可能ですが、その場合、通常の治療も自由診療となります。
※保険診療と自由診療の組合わせは法令で禁じられています(保険診療と自由診療の混合診療の禁止)。